奈良井という地名を初めて耳にしたのは去年の夏だった。
友人2人と御嶽山に登り、下山後、木曽福島駅前の飲食店に入った時
今から登るという東京在住の女性が
「山から降りてこられたのですか?」と声を掛けてきた。
「お昼御飯をご一緒しましょう。」と同席することになり
今まで登った日本百名山など山の話で盛り上がったが
暫くするとその女性は木曽福島の先にある奈良井について語り出した。
奈良井 は中山道の宿場町だった所で
妻籠、馬籠よりも往時の面影が残っているらしい。
それならば夫の趣味である水彩画の題材になりそうだ。
近鉄特急に乗り名古屋まで、その先は青春18切符を使って
大阪から遥々6時間掛けて奈良井に到着した。
JR奈良井から歩いてすぐ奈良井宿の町並みが1kmに渡って続く。
奈良井は中山道木曽十一宿中、最も賑わった宿場町で
その繁栄の様は「奈良井千軒」と呼ばれた程だ。
江戸時代や明治時代の建築物が立ち並び
昭和53年、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。
宿泊した旅館、
伊勢屋 は奈良井宿の中ほどにあった。
伊勢屋は文政元年(1818年)創業、下問屋を勤めた老舗旅籠で
現在も当時の建物がそのまま残っている。
私達が泊った部屋は新館だったが、お風呂は主屋にあり
外に出て気温0℃の中、庭を突っ切って行かなければならない。
勿論、トイレと洗面も部屋の外だ。
それらは不便だったが、夕食と朝食は美味しかった。
地の食材を生かした女将さん心尽くしの料理は量、味ともに大満足。
また機会があれば訪れたい宿である。