師走の風物詩の1つに京都南座の顔見世がある。
ここ数年、毎年顔見世を観に行っているが、今年は失業中のプー太郎。
観に行くかどうか迷ったけれど
中村勘九郎襲名披露ならば見逃す手はない。
何はともあれ見に行く事にした。
ところが顔見世は東西の歌舞伎役者が勢揃いするものだから
肝心の勘九郎出演の演目は「寿曽我対面」の1つだけ。
この作品は正月や襲名披露などおめでたい時に上演されるとか。
しかし、勘九郎扮する曽我五郎は
荒事 なので
隈取りをしている為、顔がよく分からず不満だった。
そして不満はこの他にまだあった。
最後の演目「廓文章」が全く面白くなかったからだ。
「廓文章」は放蕩三昧の挙句、勘当された若旦那の伊左衛門は
恋人・夕霧が他の客の座敷に出ていた事に腹を立て夕霧を罵るが
やがて勘当が赦され、夕霧を見受けするというストーリーで
和事 の代表的な作品である。
その主人公・伊左衛門は何と御年80歳の坂田藤十郎だ
藤十郎は扇千景の夫と言った方が一般的に分かりやすいかもしれない。
人間国宝か何だか知らないが、何せ80歳と老齢だ。
口ごもって何を言っているか分からない。
老人ゆえ縦から見ても横から見ても若旦那に見えず
おまけに
チンコロ親父低身長だから見栄えがしない。
退屈で退屈で、最後には寝てしまった。
以前見た片岡仁左衛門の伊左衛門だったら居眠りしなくて済んだものを。
高いチケット代を払って居眠るなんて本当に勿体ない話である。
演目は今一つだったが、昼食は充実していた。
歌舞伎を観に行く際のお弁当は
ちょっと贅沢をして料亭で拵えた物を買っている。
今回、高島屋で買ったのは
あと村 のお弁当。
今まで買った中で一番美味しかったかもしれない。
ちまちまと何品もの料理が入っているがどれもこれも美味しい。
中でも出色だったのが出汁巻き玉子。
とろけるように柔らかく、出汁が効いて美味だった。
南座へ歌舞伎を観に行く時は又「あと村」のお弁当を買おうっと。